【ソーシャルゲーム】野球ゲーム「ぼくらの甲子園!ポケット」はなぜ、野球ファン以外の心にも響くのか?
- 投稿日:2018/02/09 13:00
- 更新日:2018/02/10 22:48
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シリーズ累計600万DL突破
野球ゲーム「ぼくらの甲子園!ポケット」はなぜ、野球ファン以外の心にも響くのか?
面白法人カヤックのプロデューサーに聞いてみた。
※取材日は2016年8月中旬です。一部データなどが記事公開時と異なっております。
記事をダイジェストにした動画版<前編>はこちら
「ぼくらの甲子園!ポケット」はどんなゲーム?
ヤキュー:
すいません、今日「ぼくらの甲子園ポケット」というアプリの取材ということで、綿引プロデューサーにお話を聞きたいと思います。よろしくお願いします。
綿引プロデューサー:
よろしくお願いします。
ヤキュー:
まず、ざっくりとなんですけれども、どんなゲームかの紹介をお願いしてもよろしいですか?
綿引プロデューサー:
「ぼくらの甲子園!ポケット」(通称「ぼくポケ」)は2014年の9月にリリースした、高校野球がテーマのゲームです。世の中に野球のゲームってたくさんあると思うんですが、「ぼくポケ」はその中でもちょっとユニークなゲームです。
野球ゲームというと、ユーザーさんがある意味監督に近い立場でプレイするもの、つまりいろんなキャラクターを集めて自分のチームを組んで、他のユーザーさんとかCPUと対戦するという形式のものが多いですが、「ぼくポケ」は自分が高校の野球部に入部して、仲間のプレイヤーを最低9人集めて甲子園を目指すというゲームです。
ある意味リアルな野球に近い設定というか、集めることから始まるゲーム、というところがちょっとユニークなゲームなんです。
甲子園優勝目指すために練習をして、キャラクターのステータスを上げていったり、スパイク、グローブなどの野球道具を集めて強化して、スキルを使えるようになったりとか。そういったキャラクターを成長させていきながらチームワークを強くして甲子園大会を目指すというゲームです。
ヤキュー:
今現在は、どれくらいのユーザー数とか、どんなユーザー層の方に遊んでいただいている感じですか?
綿引プロデューサー:
現状は350万(※2016年10月現在ではシリーズ累計600万)ダウンロードを突破してまして。おかげさまでたくさんのユーザー様に遊んでいただいています。一番多いのは、30代、40代の男性ですが、50代の方もいらっしゃいますし、もちろん10代、20代の方もいらっしゃいます。
ユニークなCM
ヤキュー:
最近見たんですけども、甲子園の時期に向けたCMを打たれていましたが、セリフなどは内部で考えられているんですか?
綿引プロデューサー:
あれは代理店さんを含むパートナーさんと弊社で一緒に考えていくというかたちだったんですけども、地方別に計15パターンの宣誓を制作し、それぞれの放送局エリアに合わせた内容をオンエアするという形でやらせてもらっています。
ユーザーと行う「ぼくポケ」会議
綿引プロデューサー:
「ぼくポケ」放送局というニコ生の放送を月1ペースでやっていたり、「ぼくポケ」会議というユーザーさんと一緒に「ぼくポケ」を良くするアイデアを考えるというリアルイベントを実施するときに、ユーザーさんの前に立ってご意見をちょうだいするというお仕事もやっています。
「ぼくポケ」会議第1回は東京でやって。それは3月(※2016年)だったんですけが、約40人くらいのユーザーさんが集まってくださいました。第2回はつい先日8月6日(※2016年)に大阪でやりました。その際は70人くらいのユーザーさんとともにディスカッションをさせていただきました。
ヤキュー:
来ていただいているユーザーさんというのは、新しい方も昔からの方も一緒にいらっしゃるという感じですか?
綿引プロデューサー:
ソーシャルゲームのユーザーさんが集まるイベント、運営がやるイベントっていろいろあると思うんですけど、基本感謝祭やおもてなし系イベントが多い中で、僕らのイベントってかなりガチでゲームについて皆さんの意見を聞かせてくださいという、まさしく会議なんです…「ぼくポケ」会議って言ってるくらいなので。
だから、社員もユーザーさんも垣根なく意見を言い合って、「ぼくポケ」がより良くなるため、たくさんのユーザーさんに遊んでもらうためにどうしたらいいかということを話しましょうというイベントです。
ヤキュー:
綿引プロデューサーとしても、そういったユーザーとのコミュニケーションは今後も力を入れていきたいとお考えですか?
綿引プロデューサー:
そうですね。非常に重要だと思っています。
「ぼくポケ」の魅力は「友情体験」
ヤキュー:
次はですね、「ぼくらの甲子園!ポケット」そのものの魅力について伺っていきたいと思うんですけど、まず、ここが1番…1番だけじゃなくてもいいんですけど、ここがメインだと謳える、ユーザー体験というのはどういったところになりますか?
綿引プロデューサー:
ひとことでいうと、友情体験と我々は言っているんですけども。
「ぼくポケ」って1人では何もできないゲームなんです。育成くらいしかできない。ただ、やっぱり野球ゲームの一番の魅力って試合ですよね。
試合もチームにメンバー9人が揃ってないとできないし、そこで勝っていくためには、ちゃんと試合の時間に集まってスキルを発動したり応援をしたり、作戦を立ててチーム一丸となって戦っていかなければ甲子園にも出られないし、甲子園でも優勝できないというゲームなんです。
なので、非常に友情がカギというか。ただ、その友情をしっかりと育んで、チームで例えば甲子園に出場を掴んだときとか優勝できた時に感じられる感動は、とても大きいものなんです。。そういう意味で、他のゲームではない仲間との出会いとそこで生まれる絆みたいなものが大きなゲームだと思っています。
なので、「ぼくポケ」会議でユーザーさん集まったときも、すごく仲が良いんです。もう一緒にチーム組んでやってる方とかライバル校の方とか、皆さん知り合いで「オフ会も何度もやっています」とか、「ゲーム上で何度も絡んでいます」とか、そういう方がたくさんいらっしゃるので、非常に和やかなムードがあります。リアルまでちゃんと広がるような友情の起点になっているゲームだと思います。
ヤキュー:
友情を押し出す上で、具体的にゲームに備えている機能とか、施策とかそういったものというのはありますか?
綿引プロデューサー:
しいていえばある種の制約といえるかもしれません。人が集まらなくても、やろうと思えば別にCPUをチームに入れればゲームできますし。あるいは、作戦会議…「ぼくポケ」には試合時間が朝と昼と夕方と夜、1日4回あるんですけど、決められた時間にゲームを起動して30分間ちゃんと作戦会議をやって、タイミングを合わせてスキルを発動したりとか、チーム内連携をしていかなきゃいけないんで、ご飯中や会議中にこそこそやんなきゃいけないとか(苦笑)、仕事中にトイレに行ってやらなきゃいけないみたいな方もいらっしゃるかもしれません。皆その条件は同じではありますが。
ただ実は、予約機能を入れてスキルを必ずその時間に打つようにセットできるとか、やろうと思えば多分その制約って取り払うことができるんですけど、あえてそれをやらないというのが僕たちの戦略です。
不便だからこそ、それをきちっとやり遂げたときに生まれる、友情とか大きくなるということで、あえてそういう不便な制約をゲームのコアな部分に組み込んでいるというのがコンセプトとしてあります。
ヤキュー:
そういうふうに「大変な思いをして同じ試合の現場に俺らはいる」みたいな、そういった体験が一番という。
綿引プロデューサー:
一番ですね。実際の野球でもいない人が応援してるとかやはりおかしいですよね。エールという機能があって、仲間のスタミナを回復できるんですけど、いない人がエール送ってると変ですし。あと、試合に参加してないと、どんどんそのプレイヤーの能力が落ちたりとか、なるべくリアルな野球に近づけようという努力をしています。
ヤキュー:
あとは、友情以外の部分でもいくつかお聞きしたいんですけども、このゲームじゃないとこれは思いつかなかったとか、そういったゲームのギミックみたいな…結構野球ゲームとしても珍しいフォーマットのゲームだなと思います。
綿引プロデューサー:
ひとつは、野球ゲームであり青春ゲームなんです。実は、野球以外の機能もたくさん持っていて、育成するときにすごろくをやるんですけど、あれもすごろくやって止まったマスで練習してという感じで、最初からいきなりバッティングゲームみたいにはならないんですよね。グラウンドを走り回る野球部の練習の泥臭さみたいなものも、あえてそこで表現したりとか。あるいは野球イベント以外のイベントもやっていて。ちなみに今日(※取材当時)からスタートするイベントは、女子マネを自転車の後ろに乗せて河原を走るというやつです。
ヤキュー:
(笑)ものすごいロマンチックな。
綿引プロデューサー:
ロマンチックな、誰もが体験したかった、そんなちょっと切ない感じの夕暮れの、あの頃に帰りたいみたいな気持ちを刺激するようなデザインを表現しています。
あと、仲間と一緒に釣りに行こうぜみたいなイベントがあったりとか。僕田舎育ちなんですけど、高校生の時釣りに行ったりとかしてたんで…みたいなことで、結構あの頃の思い出をほじくり返して、それを追体験できるようなイベントを随所に差し込んでいます。
ヤキュー:
じゃあもうドラマありきでその上に野球を乗せてる。
綿引プロデューサー:
釣りで団結して皆で大物釣りまくったら、能力も上がって強い野球道具も手に入って、それでまた一緒に団結して試合を頑張るみたいな。随所に友情をテーマにしたイベントやギミックを盛り込んでいます。
でも、すべてはそれがちゃんと試合につながるように設計されているというところです。
「ぼくポケ」人気のコアは「友情体験」!