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#08 『侠女』A Touch of Zen【ノーパン映画レビュー】

#08 『侠女』A Touch of Zen【ノーパン映画レビュー】

連載
崖っぷちパラシュートガールのノーパン映画レビュー

 

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映画『侠女』

躍動と荘厳。
頂点に君臨する一大スペクタクル!!

A Touch of Zen(1971・台湾)

 

今回ご紹介するのは、

 

アジアアクション映画好きなら絶対に観ずして死ねない!!

香港の名匠キン・フー監督が台湾で製作した『侠女』(1971)でございます。

 

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なぜ今この作品をレヴューするのかというとですね、

 

武侠映画の大いなる礎を築いたこの歴史的超大傑作が、

しかもデジタル修復版で!!!

 

今、この時代に、映画館に蘇ったからなのであります!!!!

 

もはやDVDも絶版で入手困難、これを観るにはTSUTAYA某店舗にVHSがひとつだけしか置いていないという(あと私のいた某大学の研究室にあるだけという)かなり厳しい状況でのこの奇跡のリバイバル上映を映画館で体験できることがどれだけすごいことなのかを簡単に説明いたしますと、

未だ映像化されていないビートルズの武道館来日公演3daysのうちの3日目の映像がリマスター修正されてDVDが発売されるのと同じくらいの驚愕の復活なのであります。

噂によると3日目の観客はお行儀よかったんで音楽がよく聴こえたらしい。

 

 

とりあえず偉大な“父なる映画”

 

なによりその前にですね、この『侠女』がアジアのアクション映画にどれだけの影響を及ぼしたのかについてもご説明しておかねばなりません。

有名な話としては、2000年のアン・リー監督、チャン・ツィー、チョウ・ユンファ(前々回解説した『男たちの挽歌』に出てた“亜州帝王”)出演の武侠映画『グリーン・デスティニー』でオマージュとして捧げられ、

グリーン・デスティニー (字幕版)

さらに今日ではアクション映画製作に欠かせないワイヤーワークの生みの親作品としても知られているのです。

まぁ挙げればキリがないので続きはこれから述べていくとしてですね、

兎にも角にも、それだけこの『侠女』はアジアのみならず世界中のアクション映画の原点にしてその斬新すぎるまばゆい映像世界、さらに武侠の何たるかを優しく我々に説法してくれるその哲学という点においても、疑いの余地なく頂点に君臨する名作なのであります!!

 

いまだにこの作品を超える武侠映画は生まれていない。

というか、超えてはいけない神聖な壁と言ってもよい。

先ほど『グリーン・デスティニー』がこの作品へのオマージュと言いましたけども、もちろんそれのみならず数えきれないほどのアクション映画が『侠女』の強い影響を受けており(特に世界中を驚嘆させた竹林での剣戦シーンは色んな作品で真似られている)、

後にワイヤーアクションを広く浸透させた80年代後半のジョイ・ウォン、レスリー・チャン(彼も『男たちの挽歌』組、私の最も崇拝する俳優)主演で日本でもブームを起こした『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』シリーズだって、この映画が無かったら生まれていなかったのですよ。

 

チャイニーズ・ゴースト・ストーリー ブルーレイBox-set [Blu-ray]

 

ところでキン・フー監督は日本では“香港映画界の黒澤明”なんて呼ばれたりしますね。

もともとキン・フー自身が黒澤明やセルジオ・レオーネの影響を存分に受け、オリジナルにブローアップしているんですがね。

ついでに言うとこの『侠女』、1975年のカンヌ国際映画祭で高等技術委員会賞GPを受賞しております。

ちなみに日本でもおなじみ、あのサモ・ハン・キンポーとユン・ピョウもチョイ役で出ているのである。まだスタントやってた頃ですね。

 

 

とまあそんな記念碑的作品が、期間限定で映画館で観れるとの情報を得た私は、

自身七年ぶりの、しかもまさかまさかの修復をされキレイになって帰ってくる『侠女』との再見に心ときめかせ、息せき切ってユーロスペースへ向かったのでありました!!

ありがとうユーロスペース!!劇場前で何度頭を下げたことか!!!

 

劇場内は興奮するおじいちゃんたちの加齢臭が香り立っている。

いいぞ。これぞ古典の名作のリバイバル上映にふさわしい緊張感だ!!

 

 

では。みなさんも劇場で観戦してる気分になったところで、作品の解説に参りましょう

 

 

古典といえど気合いなど要らぬ

 

まずは簡単なあらすじを

 

 

中国、時は明朝時代。

ある町に、似顔絵描きの男グー(シー・チェン)が母親と暮らしております。

科挙にも合格できず、30才を過ぎていまだしがない独身。まあ今でいうプータローです(もはや死にかけ語か)。

早いとこまともな仕事して稼いで結婚してくれよ家が途絶えるだろって毎日母親にブー垂れられております。

しかし当のグーさんはとってものんきな性格で、絵は上手いものの出世欲もまるでなく、優しさだけが取り柄のお人好しなのであります。

 

おむかいの廃屋には幽霊が出るという噂があって、町中の人が怖がって近づきません。

ところがある日、その廃屋にミステリアスな美女ヤン(シュー・フォン)が引っ越してきます。

宮崎あおいにそっくりな幼顔にキッツい目力を加えた超絶美女なんですが、実は彼女は元高級役人の一人娘で、父親は謀反人の濡れ衣をきせられ、拷問の末に殺害、彼女も政府から追われている身だったのです。

過去に追っ手から逃げる途中、彼女は家臣のシー将軍(パイ・イン)に助けられ、ともに少林寺に逃げ込んでおりました。寺で高僧(ロイ・チャオ)に武術を学んだヤンは、シーとともに政府への復讐をくわだてており、山を下ってグー家の廃屋に身を潜めその時を待っていたというわけなのでした。

 

そんな事はつゆ知らず、ヤンと恋に落ちるグーさん。

浮ついていられたのも束の間、ある時ヤンの口からその正体を聞かされ、武術も腕力すらも無いくせに自らも彼女の身を守ると食い下がるグーは、次第にその復讐劇に巻き込まれていくのであります。

 

 

・・・と、前半はいつどこの時代にもある親子の風景にちょこんと盛り付けられたコメディタッチ

からのおとぎ話のようなイリュージョニズム溢れる流転カメラワークで綴られたラブロマンスまで全部のせのサービスっぷりで、

ここからアクションが圧し掛かってくる余地がどこにあんだよとも言いたくなるようなキレイ盛りもり創作アンティパストが提供されるわけなんですけれども

 

当然ながらキン・フー監督のこと、メイン前におなかいっぱいになんかさせません。

そんじょそこらの映画じゃここまでの一時間弱(!)の間に腹八分目まで到達しようというところですが、

キン・フーレベルの五つ星監督ともくれば、見て美味しい・食べて美味しい・ヘルシー&低カロリーの四人囃子!!!!

 

いきなりの肉汁たっぷりメインディッシュの迎え撃ちを、いとも華麗にすんなりと我々の胃袋にブチこんでくるのであります!!

 

剣技はバラエティの宝庫

 

 

かくして宿命の復讐劇が幕を開ける中盤以降。

全編素晴らしいがやはりここからが『侠女』の最大の刮目ポイントなのである。

 

ヤンとシー将軍が、追っ手の兵士たちと竹林で相対するアクションシーンでの、二人の見事なシンクロナイズド剣戦!

ズシリ、シャキンとリズミカルに轟く剣の音、トランポリンを使っているとはいえ足にバネでも隠してんのかってくらい人力を超えた圧巻の跳躍力!

そのセッションは殺戮であることすらも忘れさせる心地よささえ与えてくる。

その感覚を例えるなら、ヘヴィメタルバンドのギターが超絶技巧で奏でるラフマニノフのピアノ曲のような、

メタルとクラシックのありえないボーイミーツガールがもよおすクロスオーヴァ―・エクスプロージョンが観る者の脳内で炸裂するのであります。

 

そしてこの後に続くのが他でもない、今作を全アクション映画の頂点に押し上げた、映画史に輝く名場面。

ヤンとシー将軍が眼差しでサインを交わすと、突如シーがヤンを持ち上げたが早いか、彼女が一瞬のうちに竹のてっぺんまで飛び(しかも2,3回のジャンプで)、そのまま剣を突き立て敵の兵士めがけて頭っからダイブするのである!!

シュッ、シュッ、ザザァァ―――、ブスリ。

ほんと、これくらいの一瞬の速さ。

これをCG無しのワイヤーだけでいとも流麗にやってのけているのだ。

さらにこの鬼気迫る臨場感をよりいっそう増幅させているのがショットのつなぎ、モンタージュ。

映画をちょっとかじった方ならご存じであろう、ソ連のセルゲイ・エイゼンシュテイン監督が1925年に製作した『戦艦ポチョムキン』の中で確立したモンタージュ理論を、キン・フーはアクションという新たな枠組みの中で実践し、よりキャッチ―な次元に高めたという点でも、彼は先駆者としてよく知られているのですね。

戦艦ポチョムキン【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

 

 

 

敵は己の中に

 

ここまででもう『侠女』におけるアクションがいかに超ド級であるかがお分かりいただけたでありましょう。

 

しかしキン・フーはアクションだけでは終わらない。

冒頭に「優しく説法してくれる映画」と書きましたが、というのもキン・フー監督はここまで芸術的な圧巻のアクションの数々を見せておきながら、その裏では“本来敵と対峙するときに用いるのは武力ではない”という真意を、しっかりと映画の中に込めておいでなのです。

 

ヤンがお尋ね者であると知ったグーが、武術も持ちえない弱っちい(愛らしい)絵描きのくせにどうやって彼女たちに加担したか。

彼は言いました。「戦は腕力だけじゃない。私は頭脳で力になる!」

 

そして打ち出した策はオバケ作戦。

彼らが住むチンルー砦にはオバケがでると言われており、その風評を広めて彼らに襲ってくる200人の兵士たちを追い払っちゃおう!という出オチにしか思えない作戦をかなり真剣に繰り広げるのである。

しかもこの作戦、わりと功を奏するのです。

おかげで彼らはたった数人で挑んだにもかかわらず、200人の敵を一網打尽にすることに成功。

 

 

さらにキン・フーの不殺生説法は映画後半に色濃く描かれております。

のちに『燃えよドラゴン』(1973)や『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)にも出演することになる名優、ロイ・チャオが演じる少林寺のめっちゃ強い僧侶が主役となり、前半の“躍動する生”とは打って変わった“観念的な死”を描き始めるという、まことにサイケな実験映画へと変貌を遂げるのであります。

燃えよドラゴン ディレクターズカット (字幕版) インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 (字幕版)

 

この僧侶、ヤンとシー将軍に武術を教えた張本人なのですけれど、どんなに腕の立つ兵士相手でも片手一つでぶっ飛ばしてしまうほど、まさしく難攻不落、立ち入ることのできない“神”そのもののように描かれております。

そして彼は悪心まみれる敵に対しても一切手を出すことがないのですよ。

キン・フーはこの僧侶を映すことで、武侠が殺戮の手段になってしまうことの無常さと罪の意識を描きながらも同時に、

身を守る術として、そして戒めとしての“武侠”の奥義までも我々に説いてくれているのであります。

 

そして大団円へトリッピーになだれ込むラストシーン。

僧侶は敵の兵士の謀略にはまり死に倒れていくのですが、その瞬間の世界の激震、まさに「神の怒り」なんですけれども、

このときのフィルムの色彩表現など、当時の映像技術のもてる全ての技をストロボのように一心に詰め込んだ眩暈を起こすほどの異様さであり、

そして「神の怒り」に触れた兵士は狂乱の末に息絶え、僧侶はまぶしすぎる後光を仰ぎながら本当の神になっていく。

 

この映像世界こそ言葉をもってしては伝えられない完全なる「観念」の域なのであり、こうした表現こそ『侠女』を至高の映像作品たらしめた決定的な所以であるのです。

 

ちなみにこのラストシーンはよく『2001年宇宙の旅』のラストシーンを引き合いに語られることが多いですね

まあどちらの作品にしてもこうした表現がいったい何を意味しているのか、なんてことをいちいち解説してみたい気持ちも分からなくはないんですけどね、

これほどまでに映画的なシーンってのはですね、言葉で体系化できるスケールをはるかに超えているんですよ。

 

これこそ、映画だけが到達できる、人間の概念を打ち破った先の境地。

 

2001年宇宙の旅 (字幕版)

 

つまりこの『侠女』という映画はですね、

物語、アクション、娯楽、哲学、芸術すべてに至るまで、

映像表現のみが持ちうる可能性をまるごと一本の作品に詰め込んだ大出血マシマシ全部のせ

とてつもなく有り難い映画なのであります!!!

 

 

まあ七年前に私自身、初めてこの作品を目の当たりにしたときは

「映像も古いし難しそうだし、お勉強用の退屈な古典映画でしょー」

なんて思って観たものです。

しかしゆうに三時間を超えるこの一大スペクタクル超大作、一度観始めてしまえば誰しもその理屈抜き(ある意味最初から最後まで)の面白さに、時間の長さも時代の古さも忘れて見入ってしまうこと間違いなしの圧巻の映画でございますよ。

 

むしろ軽い気持ちで「そんなにすごいアクションなんだったら観てみるか」くらいのノリのほうが楽しめるかもしれませんな。

きっと死ぬ前に一度観てみると、その驚きにそれまで自分でも知らなかった新たな感覚が開発されるかもしれない。

 

 

そんな醍醐味をくれる『侠女』のような作品こそ、

映画の中の最たる映画なのであります。

 

 


 

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執筆者プロフィール

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執筆者:本部 萌

1990年12月26日 沖縄生まれ。東京育ち。
159センチ
スリーサイズ: B70, W55, H90

■活動内容
2013年明治学院大学文学部芸術学科映像芸術学専攻を卒業後、小劇場をメインに下積み女優活動を展開中。アローズプロ所属。
休みの日には映画館と自宅で年間約300本の映画を鑑賞するほぼ引きこもり生活を送る、「映画と結婚した独身専業主婦」。
たまに出るDJイベントでは60〜80年代の洋楽チューンを担当、特に80年代ニューロマンティックをこよなく愛する。
ヤクルトスワローズのマスコットキャラクター「つば九郎」のフォルムと毒気に惚れ込み、シータの如く神宮球場の空から舞い降りてつば九郎の頭にスカートを被せたい密やかな夢を抱いているが、野球そのものに関しては1チームが何人構成かも知らないくらいの知識。
阿佐ケ谷のミニシアター“ユジク阿佐ケ谷”、新宿ゴールデン街のロックバー“Happy”、野球バー“ぺんぎん村”で働く。

facebook: 本部萌facebook
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