【トリガーポイント】肩が凝ってるからって肩を揉むヤツは、バカ!!!(後編)
- 投稿日:2016/02/10 19:00
- 更新日:2017/01/26 12:57
6089VIEW

後編は治療に臨む”前向きな気持ち”のお話
日本人が「身体の悩みでもっとも深刻な症状」トップ2(*1) に挙げる肩こり・腰痛。
前編は筋膜とトリガーポイントに着目して解説していきましたが、
後編は治療に臨む気持ちのお話。日々患者さんと向き合う中山先生が最も熱く、切実に語ってくださいました。
前編はこちらから↓
【前編のまとめ】
- 慢性的な肩こり・腰痛の原因のひとつが「筋膜の異常(縮み)」である!
- 筋膜が縮むと、血流が滞り”トリガーポイント“が生じる!
- トリガーポイントが文字通り引き金になって、痛みを引き起こす!
- 痛みの解消には筋膜を伸ばす必要がある!
- 筋膜は全身で繋がっているので、局所的にではなく全身をバランスよく伸ばせ!
中山哲志(なかやまさとし)
はすのこ鍼灸治療院 総院長
厚生労働大臣認定鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師
1970年8月29日生、東大式鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の第一人者として業界内外を問わず広く活躍。
熱烈なファンも多く、著名人もお忍びで治療に通っている。
──後編も引き続きよろしくお願いします。
はい。もう私が陽気なところは前回伝わったと思うので、はじめからキリッといきますよ。
──はい。伝わってない方は前編を読んでくださいね。
読んでね!
──結局やってるじゃないですか!
「あなたはここが悪いんです」という伝え方はしない
日々患者さんに接していて気づいたことがあるんです。
それは、治療に対して受け身な患者さんほど具合が悪くなっていくということです。
──治療に来ているのにですか?
悪くなっていくというと大げさですが、「自分で治す」とか「大丈夫なんとかなる」といった自己肯定感の強い患者さんのほうが圧倒的に治りが早いですね。
──それにはどういう理由があるのでしょうか?
簡単に言いましょう。回復スイッチをいれるかどうかなんですよ。
前回もお話した情報伝達のスイッチによって、危険信号=痛みを解除するっていうことですね。慢性的な痛みほど、そういう傾向は強いと思います。
──直接的な損傷ではなく、「痛い」という信号が出続けるのが問題だ、と?
そうです。
整形外科を経由した患者さんの中には、「自分の首はここがズレてるみたいなんです」、「背骨のここがズレてるみたいなんです」とおっしゃる方がいます。
──最近のお医者さんはとても丁寧に説明をしてくださいますよね。
はい。それ自体は悪いことではありません。しかし意識しすぎるとストレスになります。
「やっぱり自分は○○が悪いんだな」とインプットされてしまう。その人の痛みが現れやすい傾向は患者さんを診ていてもわかるんですが、そのときに悪い部分を具体的に指摘してしまうと患者さんは気にし始めてしまうので、「そんなに大したことではないですよ」、「あなたの持っている自然治癒力ってすごい力があるんですよ」ということを優先して伝えています。
ストレスも情報伝達の一種
──ストレスという精神的なものが、なぜ痛みに影響するんでしょうか。
ストレスも情報伝達の一種ですよね。
具体的な脳の仕組みで大まかに説明してみましょう。
脳の大脳皮質は“抑制の器官”と呼ばれていて、喜怒哀楽や痛み、運動機能などメンタル・フィジカル両方をコントロールしている。
赤ちゃんは大脳皮質が未発達なので泣くのが仕事。また脳卒中を起こしてしまったおばあちゃんが泣き上戸になったり笑い上戸になったりする(感情失禁)。こういうものも大脳皮質の抑制が利かない結果起きることです。
ストレスが溜まると大脳皮質が疲れて、抑制をかける情報伝達能力が弱くなってしまうんです。そうすると、抑制がかかっていた時には感じなかった痛みが出てきてしまう。
これがけっこう大きいんですよ、慢性的な痛みの場合。
──気持ちの問題、というのは根性論ではないんですね。
野球肘とトリガーポイントの関係
──スポーツによるからだの痛み、たとえば野球でいえば野球肘などにもトリガーポイントを意識した治療をされるんでしょうか。
スポーツをするときは、体の一部分に過度に負担がかかる動きを繰り返す傾向がありますね。
野球で言えば「投げる」動作。肩や肘を多く使います。
筋肉の付着部のところはトリガーポイントと関連するので、その使いすぎた分を治療してあげれば良いと思います。特に内側の靭帯の炎症のタイプには有効です。(上の図参照)
──筋膜の付着部、つまり前編に触れた筋膜ですね。
はい。あとはまあ投げ方そのものに問題がある場合が多いですが、他の痛みと同様に、肘だけをみるのではなく、体全体を意識したケアをするのがよいと思います。
──なるほど。痛みのある箇所だけを見ない、というのはいろんな症状に有効ということですね。
「自分は大丈夫」だという前向きな姿勢
あとはだいたい「大丈夫」です。わたしは海外にいくとね、「こんにちは」と「ありがとう」の次に「大丈夫だよ」という言葉を覚えます。これ言うと、みんな喜ぶんですよ。長年の経験から、治療にも患者さん自身の「自分は大丈夫だ」っていう前向きな姿勢が肝心だと思いますね。
──病は気からと言いますが、筋膜やトリガーポイントといった点からも、気持ちの問題は大きいと言うことですね。どうもありがとうございました。
はい、こちらこそ。
最後に自宅でできる肩こり解消ストレッチをお教えしましょう。
前編の内容も踏まえていますので復習のつもりで観てね。
(約120秒)
【後編のまとめ】
- 患者自身が、「自分で治す」意思をもつべし。
- 痛みの原因を意識しすぎることでストレスになることもある。
- ストレスや疲れで脳の抑制機能が働かなくなると痛みを感知してしまう。
- 「自分は大丈夫だ」という前向きな姿勢で治療に臨むべし。
【取材協力】
はすのこ治療院
〒262-0018
千葉市花見川区畑町432-1
STビル102
月〜金 9:00-12:00 15:00-20:00
土 9:00-12:00 15:00-18:00
日祝日休診
http://hasunoko89.wix.com/index
(*1)…平成25年度厚生労働省の国民生活基礎調査(pdf) p.30より
執筆者:肩こり腰痛持ちの方にも、野球を楽しんでもらいたいメディア「YAQUE(ヤキュー)」編集部
連載リスト
【ソーシャルゲーム】野球ゲーム「ぼくらの甲子園!ポケット」はなぜ、野球ファン以外の心にも響くのか?
- 投稿日:2018/02/09 13:00
- 更新日:2018/02/10 22:48
6089VIEW